こんにちは! 本記事の執筆者である、ライターのにしこです。
今日は、ピッチングマシーンの総合メーカーである「トーアスポーツマシーン」の工場にお邪魔してきました。
みなさん、ピッチングマシーンが作られている工程って見たことありますか?
私は今日初めて見ました(笑)
野球のことも製品作りのことも分からない私ですが、工場長の中村さんが分かりやすく説明しながら案内してくれたので、そのまま記事にしました!
(にしこ)本社の方から「中村さんには、すごくこだわりを持って丁寧に工場を管理してもらっている」とお聞きしています。今日はそのこだわりを聞かせてください!
(中村さん:以下 中村)そうですか(笑)じゃあ行きましょうか。
(中村)ここに置いているのは、完成したピッチングマシーンです。
全部緑色でしょ。緑色は「トーアグリーン」と言って、トーアスポーツマシーン製であることを示す専用塗装色です。
遠くからでもトーア製マシーンであることが分かります。
(にしこ)記事に書きます(笑)
(中村)ここは組み立て場です。組み立て場近くには、組み立ての際に使用する部品をあらかじめ置いています。
(にしこ)部品をあらかじめ揃えて置いておくと、すぐ作業に取り掛かることができますね!
(中村)はい。品質の統一は作業の見える化から始まり、見えるとは「働く環境の最適化によって、見て・動いて感じるようにすること(持論)」です。
そのための取り組みの1つとして、このように無駄のない動線を考慮した作業場の配置としています。
また働く環境の最適化としては、ベテランスタッフがオリジナルの専用治具(じぐ)を自ら考えて作ったものを使用していることも挙げられます。
(にしこ)「じぐ」というのは何でしょうか?
(中村)精度よく短時間で確実に製品を組立てるための道具です。こういうの。
(中村)さらに報連相(報告・連絡・相談)、マニュアルに準じた統一作業、指示書・連絡書など書面を利用した情報伝達を徹底しています。
(中村)あとは基本中のきほんの、整理整頓。
(中村)整理・整頓とは「あるべきものが、そこにあるようにする」ということ。探す手間を省くために欠かせません。
(中村)「もっと大きな見える化」を紹介しましょう。
(にしこ)工場で「見える化」という言葉を聞くとすごくしっくりきます。お願いします!
(中村)例えば、どこに何があるかを明確にするために工場全体が住所化されています。
(中村)分かります? 住所の最後に番地がある様に、工場内の置き場所はアルファベットで番地化しています。
(にしこ)アルファベットでエリアが区切られているんですね。
(中村)そう。全ての棚にアルファベット表記の番号をつけて、見える化を徹底しています。
(中村)これによって沢山ある部品の探す手間を省いたり、置き場所(保管場所)が分かります。
また置き場所の広さを設定することになるので、1回の資材(部品)の購入数をルール化(制限)でき、大量に買い過ぎてしまう危険性を減らせるというメリットもあります。
(中村)次は小部品置き場に行きましょう。
これはホイール。マシーンの重要な基幹部品で、ホイールに使っているウレタンやゴムの品質は最も重要です。これ大事だから、記事に書いてね(笑)
(にしこ)分かりました!(笑)
(中村)弊社の純正ホイールの特徴として、ピッチングマシーン用に開発した専用材料を使用していることと、徹底した品質管理の中で作られていることが挙げられます。
(〜ここからは、工場長が最も熱く語る場面です〜)
(にしこ)置いてあるホイールは、ほとんど赤いですね。
(中村)昔は硬式用ウレタンホイールはナチュラル色、軟式用ゴムホイールは白色でした。
2015年よりウレタンホイールは、ボールが見えやすくなるよう赤色にしました。
ゴムホイールは2017年から軟式ボールの規格がA/B/C号からM/J号へ変更になったので新規格のボールに対応する新製品のマシーンを作ったんですけど、その際に旧規格のマシーンにも新規格のボールが対応できるようにホイールも専用に製品化しました。
新旧ホイールの違いが明確になるよう、またこちらのM/J号用も打者にとってボールが見えやすくなるように赤色にしました。
打者からすると、タイミングを取りやすくなったということです。
(中村)また、高速回転時への振動対策も徹底しています。
(中村)マックス150km/hもの高速球を投球するためにホイールも超高速回転させるので、数グラム単位でバランス調整をしています。
(中村)近年では弊社のウレタンホイールが劣化した芯金部分を再利用し、ウレタン部分を新しくまき直しして販売している業者があるようです。いわゆるイミテーション(模造品)です。
粗悪なホイールを使用すると、球速やコントロールが乱れて本来のピッチングマシーンの性能が発揮されずに悪速球など危険な状態となり、マシーン本体も壊してしまう可能性があります。
イミテーションは安価であるというメリットはありますが弊社の保証も受けることができなくなるので、純正品を使うことをお勧めします。
純正品は“赤”ホイールですよ!
赤い以外にもサイズ別に「硬さ」も変えているんです。本当はもっといろいろな部分でこだわったところもありますが、今回は長くなるのでやめときます。
(中村)ピッチングマシーンには、先ほど紹介したホイール以外にも、たくさんの種類の専用部品が使用されています。
各専門分野のメーカーである仕入先と、納期・コスト・品質になどについてコミニュケーションを図ることで、よきパートナーとして取引を継続しています。
(にしこ)なるほど。ちなみに、取引の際にぶつかることってないんですか?
(中村)まあぶつかるというか、言いたいことは言いながらもお互いのメリットが合うように歩み寄っています。正直、厳しい状況の中、チームスタッフが頑張ってくれています。
そのような継続的な取引が、無駄のない安定した部品手配や在庫や品質管理・組立精度や時間、
最終的には完成品の品質を決める重要なポイントになっています。
(中村)ここはピッチングマシーンの試投場です。新規完成機は1台1台すべて投球確認を行い、弊社の合否基準に準じた合否判定を行っています。
最初に何十球もの投球を行った後、最後にルール化した投球条件で30球の検査投球を行います。
(試投の際の動画です↓)
トーアスポーツマシーンです!本日は松阪工場内にある試投場を紹介致します。当社では出荷前検査として30球中、90%以上が80×80cm以内に投球される事を合格基準として調整を行なっております。合格基準を満たないマシーンは再調整、再テストを繰り返し出荷しています。✳︎お客様が安心して練習に取り組めるように弊社としても最善を尽くしおります。#野球 #大学野球 #高校野球 #中学野球 #軟式野球 #学童野球 #ピッチングマシーン #ピッチングマシン #バッティングマシン #打撃 #トーアスポーツマシーン
トーアスポーツマシーンさんの投稿 2019年5月24日金曜日
(中村)不合格品は合格となるまで徹底的に調整を行うので、不合格判定品を出荷(販売)することはありません。
ピッチングマシーンができる最初から最後の工程まで、安全で高品質な製品を生産し続けるためのこだわりが詰まっていました。
次回は、工場長の中村さんへのインタビュー記事をお届けします。
中村さんが毎日どのような思いで仕事をしているのか、ここまで徹底した作業効率を実現させるためにどのような苦労があったのか、また今後の展望などをお話しいただいたので、ぜひお楽しみに!
取材、撮影、執筆:にしこ
トーアスポーツマシーン Facebook:@toa.sports.machine